ボヘミアンガーネットの産地でもあるチェコ共和国。せっかくの機会にお土産として、現地で本物のジュエリーを購入したいですよね。
しかし残念ながら、観光客を狙ったボヘミアンガーネットの偽物がたくさん流通しているのも事実です。
そこで今回は、プラハのジュエリー店店長さんに聞いた、偽物をつかまされないポイントをまとめました。皆様のお買い物のお役に立てればうれしいです。
ボヘミアンガーネットとは
まずは、ボヘミアンガーネットについて少しだけお伝えしますね。
ガーネットと一口に言っても、実はたくさんの種類があるのです。そのガーネットの中でも、チェコ西部のプラハを含むボヘミア地方でのみとれるガーネットを、ボヘミアンガーネットと呼んでいます。
ボヘミアンガーネットは、ガーネットの中でも最良とされており、透明度に優れ、色も黒に近い深紅のものが多いです。
近年ではボヘミアンガーネットの採掘量が減少しており、希少価値が上がっています。
チェコでは現在ボヘミアンガーネットの原石の採掘権を持っているのは、ガーネット・トゥルノフ(Granát Turnov)という会社のみです。
ガーネットは1月の誕生石
ガーネットは、1月の誕生石としてよく知られていますよね。「真実」「情熱」「実り」「友愛」「繁栄」などが宝石言葉として挙げられます。
また、災いをはねのけるお守り石として、中世の十字軍の兵士たちが身につけていたことから、強力な護符としてだけではなく、努力と勝利を象徴するパワーストーンとしても人気があります。
ノアの箱舟を照らす石として聖書にもでてくるガーネットは、はるか昔から親しまれてきた宝石の1つです。
偽物をつかまされない為の買い物のポイント
チェコのお土産として、または素敵な記念日・誕生石のギフトしてピッタリなボヘミアンガーネット。
せっかくチェコを訪れるなら、絶対買って帰りたいお土産リストにランクインしちゃいますよね。それではさっそく、偽物をつかまされないお買い物のポイントをお伝えしたいと思います。
ジュエリー店選び
プラハを散策していると、ビックリするくらい沢山のジュエリー店を見かけます。お店だけでなく、露店でも沢山のジュエリーを売っているのが目に入ります。
あちこちにありすぎて目移りしてしまいますが、ここで重要なお店選びのポイントがあります。
それは、ボヘミアンガーネットの説明をした時にもお話しましたが、現在ボヘミアンガーネットの原石の採掘権は、ガーネット・トゥルノフ(Granát Turnov)社のみが持っています。
ということは、必然的にガーネット・トゥルノフ(Granát Turnov)社のみが本物のボヘミアンガーネットを販売しているということになります。
お店選びの基準としては、ガーネット・トゥルノフ(Granát Turnov)社の直営店、もしくは取り扱い店を選ぶのが正解です。
産地証明書の有無
直営店でなくても、同社のガーネットの取り扱いがあるかないかは、お店の人に産地証明書を発行してもらえるかどうか確認すると分かります。
赤い紙のこちらが産地証明書です。この紙の表面には、Granát Turnovのロゴマークがしっかり入っています。
証明書がない場合は、ボヘミアンガーネットととは100%言い切れない可能性があります。
Moose(ムース)の失敗談
Moose(ムース)は、2か所別々のジュエリーストアでボヘミアンガーネットを購入し、そこで2種類の証明書をもらいました。1つは上記のGranát Turnovの赤い証明書。もうひとつはこちら。
一見ちゃんとした証明書に見えますが、特に産地を証明している訳ではありません。購入したジュエリーが14Kで、ガーネットも品質基準をクリアしていますとしか書いてありません。
偽物とは言い切れませんが、このガーネットが100%チェコ産のボヘミアンガーネットかは不明です。
こうした後悔をみなさまにしてもらいたくない為に、この記事を書きました。じっくり読んで後悔のないお土産ショッピングをして欲しいと思います。
ガーネットの大きさに注意
ボヘミアンガーネットは、採れる結晶自体が小粒のものが多いので、どうやっても加工後は数ミリの小さな仕上がりになります。(とっても価値のある大昔のアンティークものはわかりませんが・・・。)
ですので、大きなサイズのものは、基本的にチェコ産のガーネットではありません。
店長さん曰く、チェコに流通している大粒のものは南アフリカ産のものが多いそうです。
チェコでよく見かけるアクセサリーのデザインで、大粒のガーネットの周りに小粒のガーネットが散りばめられているものがありますよね。
そういったデザインの場合、真ん中の大粒のガーネットは他の産地のガーネットで、周りはチェコ産のボヘミアンガーネットという事がほとんどだそうです。
ジュエリーのデザイン自体はチェコ出身のデザイナーのことが多いそうで、「チェコ産」と言えばチェコ産になるのでは?と店長。
どうしてもすべてチェコ産ボヘミアンガーネットじゃないと!という方は、大粒の石が入っていないデザインを選ぶようにしましょう。
石の台座にも注目
ボヘミアンガーネットを使用したジュエリーで、24Kの台座は少ない傾向にあります。その理由は、金が柔らかすぎて小さな石であるボヘミアンガーネットがうまくおさまらないからだそうです。
ですので、台座によくあるのは18K・14K・銀・銀に金のメッキを施したものが多く流通しています。
ボヘミアンガーネットのジュエリーを選ぶ際は、メッキは数年で剝がれてしまう可能性があり、銀は磨かないと黒くなるという事を考慮して、そうなっても目立たないデザインを選ぶというのもポイントの1つです。
光に透かした時の色
最後にお伝えするコレ。
これは、素人のMoose(ムース)には全くわかりませんでした。よっぽどの知識がない限り、この色での判断は無理だと断言します(笑)
この写真、写りが悪いのもありますが、どちらがボヘミアンガーネットだがわかりますか?
上側にあるのがボヘミアンガーネットで、下側にあるのはチェコ産ではないガーネットだそうです。
店長さんは、一目瞭然だと断言。
Moose(ムース)にはさっぱりでした。
店長さん曰く、光の透け具合が全く違うとのこと。
もしチェコに行く機会がある方は1度目利きに挑戦してみてはいかがですか?(笑)
ボヘミアンガーネット以外の店長のおすすめ
希少なチェコ産天然ガラス・モルダバイト
ボヘミアンガーネットと共によくショーケースに並んでいる美しい緑色のジュエリー。
こちらは、チェコのモルダウ川流域でしか産出されない大変希少価値の高い天然ガラスです。
テクタイト(天然ガラス)としては非常に珍しい緑色のモルダバイトは、パワーストーンとしても人気です。
天然ガラスなので宝石とは違いますが、美しい緑色がアクセントとして映えるため、ボヘミアンガーネットと共に使用されています。
チェコ原産という点では、こちらもお土産候補としてピッタリでおすすめです。
チェコでも対中国人向け商戦アイテム!?
ショーウィンドウでよく見る黄色いストーンの正体
ボヘミアンガーネットショッピングをしていると、お店のショーウィンドウにたっくさん並んでいる黄色い石の数々。
ジュエリー店内でも、かなりのスペースを取っています。こんなにたくさん推しているんだから、きっとチェコ原産のものだろうと思いますよね?
その黄色い石の正体は、琥珀(アンバー)です。そして、琥珀はチェコ原産でもなんでもありません。
なのにどうしてこんなに店内にあるのか店長さんに聞いたところ、アジア人観光客を狙った商戦だそうです。アジア人、とくに中国人を的に絞ったチョイスらしく、ジュエリー店として存続する為の売り上げに貢献しているのだとか。
琥珀のチョイスに関しては、中国人は琥珀を縁起がいい石としてこよなく愛しているからだそうです。
ビジネスを展開する上で、海外旅行へ行くお金持ちの中国人の方々をターゲットに絞ったビジネス的選択です。
なんともまあ、さすが“爆買い”を日本に広めた中国人の経済力。
ヨーロッパのビジネスからもしっかりターゲットにされています。
まとめ
最後の琥珀に関しては余談でしたが、偽物をつかまされない為のポイントは、しっかり頭に入りましたか?
おさらいとしてもう1度だけ、おさえておきたい点をまとめますね。
- 現在採掘されているボヘミアンガーネットの粒は小粒である
- 大粒のガーネットは、他の産地のものである(アンティークは除く)
- ガーネット・トゥルノフ(Granát Turnov)社のみが採掘権を持っている
- 産地証明書を必ず発行してもらう
- 石の台座にも注目する
この記事を読んで、皆様のボヘミアンガーネットショッピングが充実したものになれば、とってもうれしいです。